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人手不足はAIで解消できる?中小企業が採用と業務削減を考えるときの基準

事務員を採用できず、社長や社員が残業で補っている中小企業向けに、AIで減らせる仕事と、人の確保が必要な仕事の分け方を解説します。減った時間を接客や受注対応に使えるかまで、導入前に判断する方法を紹介します。

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KEY TAKEAWAYS

この記事の要点

AIを導入すれば、人手不足は解消できますか?

事務作業の負担を減らせる可能性はありますが、必要な人数が減るとは限りません。不足している時間帯と仕事を特定し、AIで減らせた時間をその仕事に使えるかで判断します。

事務員が採用できない場合、何からAI化すればよいですか?

残業や対応の遅れにつながっている仕事のうち、資料の要約や下書きなどを試験候補にします。元資料の準備、確認、修正まで担当できる人がいることが前提です。

AI導入と採用は、どちらを優先すべきですか?

接客や現地対応などの要員が足りない場合は、人の確保を並行して進めます。事務負担を減らすことで既存社員が不足業務を担える場合は、その効果を試してから必要な採用人数や勤務時間を検討できます。

事務員の募集に応募がなく、社長が夜に書類を作っている。社員はいるものの、事務処理に追われて新しい依頼を受けられない。こうした人手不足に、AIが役立つ余地はあります。

ただし、書類を短時間で作れることと、必要な仕事を今の人数で回せることは別です。四日市・三重でAI導入を検討する経営者も、まず「誰の、どの時間が足りていないのか」から考えると、採用とAI導入にそれぞれ何を期待するかが決まります。

人手不足への効果は、減った時間をどこで使えるかで変わる

たとえば小売店で、店長が閉店後に売上報告を書いているとします。作成負担を減らせれば店長の残業対策になりますが、それだけで昼のレジ担当者が増えるわけではありません。昼の人員不足を補いたいなら、店長がその時間に売り場へ入れるか、ほかの仕事をどう分担するかまで考える必要があります。

厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析」では、小売・サービス分野の調査で、ICT(情報通信技術)や機械化への投資について、人手不足の解消と業務効率の向上で効果の感じ方に差があると報告しています。これは文章や画像などを作る生成AI単独の効果を測った調査ではありませんが、作業の効率化をそのまま欠員の解消と考えないための参考になります。厚生労働省「人手不足への対応」

導入の目的は、たとえば「社長の夜の事務作業を減らす」「午前中に見積もりを返せるようにする」「社員が接客に入れる時間を増やす」のように置きます。同じ作業が短くなっても、目的によって導入の成否は変わります。

社員一人分の仕事を、作業ごとに分けて考える

事務員を採用できないからといって、その人が担う予定だった仕事を一括でAIへ任せる計画には無理が生じます。資料作り、社内確認、来客対応、取引先との調整では、必要な仕組みも担当者も違うためです。

下の図は、見積もりを返すまでの仕事を分けた想定例です。AIに下書きを任せる計画でも、条件を決める人と、完成した見積もりを確認して送る人が必要になります。

見積もり業務の全体を、AIで下書きを試す工程と人が条件を決めて確認・送付する工程に分けた図 図:見積もり業務の分担例。AIによる下書きは試験候補であり、条件の決定と完成後の確認・送付は担当者が担う。

文章や資料の内容を扱う作業は、生成AIを試す候補になります。一方、注文内容を決まった欄へ転記する仕事なら、受注システム同士の連携で解決できる場合もあります。人手不足対策にかける費用は、こうした方法も含めて検討できます。

以下は導入先の実績ではなく、試す範囲を決めるための想定例です。利用するAIが対象の資料を扱えること、会社として入力を認めた情報だけを使うことが前提になります。

困っている場面 AI活用の試験候補 人が担当する仕事
サービス会社で、提案資料の作成が遅れている 確定した提案内容と過去資料から、構成や説明文の下書きを作る 提案の条件決定、内容の確認、顧客への説明
EC(電子商取引)事業で、お客様の要望を読み返す手間がかかる 問い合わせ記録から、要望と未回答事項を抜き出す 抜け漏れの確認、返金や個別対応の判断
社長が面談後の事務処理に追われている 面談メモから、依頼事項と担当者の一覧案を作る 発言との照合、担当の確定、社内への引き継ぎ

たとえば資料の下書きができても、元資料を集める社員が足りないなら、着手までの待ち時間は残ります。AIに渡す前後の仕事を含め、どこで処理が止まっているかを確かめると、導入範囲の見当違いを防げます。

採用を続けるかは、残る仕事と必要な時間帯で判断する

接客や訪問の担当者が足りず、予約を断っている場合は、その業務を担える人の確保を並行して進めます。AIで事務負担を減らすことは、その担当者が現場へ出る時間を増やすための施策として考えられます。

事務処理が主な負担なら、採用予定の仕事を一部減らした後に、残る仕事量を確かめる方法があります。必要なのが終日勤務の社員なのか、繁忙時間帯を担当する人なのかも、そこから検討できます。ただし、AIが作成した内容の確認を社長に集中させると、社員の手は空いても社長の負担が増える場合があります。

また、一日の合計で作業時間が減っても、空いた時間が細切れなら、まとまった接客や訪問に使えるとは限りません。残業を減らす目的なら短い時間の積み重ねにも意味がありますが、受注を増やす目的なら、対応できる時間帯と担当者まで決める必要があります。

最初の試験は、止まっている仕事を一つ選ぶ

最初の試験には、仕事の遅れや残業の原因になっている業務を一つ選びます。担当者と次の順で、試す工程や効果の測り方を決めます。

  1. 直近の仕事から、処理が間に合わなかったものを一つ選びます。遅れた納期、残業、断った依頼など、何に困ったのかも記録します。
  2. その仕事を、資料の準備、作成、確認、送付などに分けます。AIを試す工程と、試験中に人が担当する工程を決めます。
  3. 通常の作業と比べられる案件で試し、準備や修正を含めた時間と、仕上がりを記録します。測り方は確認・修正まで含めた導入効果の比べ方で説明しています。
  4. 減った時間を目的の業務に使えたか、社長や別の社員の作業が増えていないかを確かめます。その結果をもとに、導入範囲と採用計画を調整します。

外部へ相談する場合も、「AIで人手不足を解消したい」に加えて、遅れている仕事、現在の担当者、使っている資料、間に合わない時間帯を伝えると、具体的な提案を受けやすくなります。社外へ出せる範囲で、実際の帳票や画面を一つ用意すると、入力の手間や確認方法まで話を進められます。担当者が不在の日にも処理を続ける必要があれば、代わりに確認する人と、処理を止めてよい条件も相談に含めます。

本記事は2026年10月22日時点の情報にもとづいています。各サービスの仕様・料金・利用条件は変更されることがあります。実際の業務でご判断いただく際は、各提供元の最新の公式情報をご確認ください。

この記事を書いた人

後藤恭彰

Innovation System株式会社 代表取締役

後藤恭彰は、Innovation System株式会社の代表取締役。同社は三重県四日市市を拠点に、法人向けAI講座、AI活用支援、システム・AI開発を提供しています。

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